文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞 !


強発光を示す希土類ナノ分子材料に関する研究

長谷川靖哉

 

この度、歴史ある文部科学大臣表彰の科学技術賞(研究)を頂き、大変光栄に思います。今回の受賞を糧に、今後も教育・研究活動に励進していきたいと思います。

今回の受賞にあたりまして、ご指導・ご鞭撻くださいました大阪大学・柳田先生、東京工業大学・和田先生、北海道大学・村越先生、奈良先端科学技術大学院大学・河合先生、中嶋先生、湯浅先生、北海道大学・伏見准教授、中西助教、北川助教に感謝申し上げます。さらに、多くの先生方にご協力をいただきました。また、大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学、北海道大学の卒業生・学生の皆様の力なくしては今回の受賞はなかったと思います。学生の皆様に深く感謝申し上げます。

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21世紀の光科学技術を進化させるためには強発光を示す分子材料の開発が急務とされており、光科学技術を支える重要資源である希土類元素を分子レベルで活用する希土類分子材料は日本の未来資源および先端技術を担う重要課題とされている。希土類元素は蛍光灯やレーザー材料としてこれまで使用されてきたが、希土類分子材料(希土類錯体)の学術理論体系はまだ確立されてなく、工業化には更なる改善が必要であった。 本研究では、希土類元素の光機能を量子化学の立場から研究し、強発光を導く新理論(振動抑制理論、発光速度加速理論、立体構造設計理論)の学術的体系化を行うことによって強発光性の希土類ナノ分子材料開発に成功した。 本研究により、従来の有機色素に比べて美しい発光色、高い発光効率、優れた耐久性を有する分子材料の創成が可能になった。さらに、従来の無機セラミックや有機色素では不可能な新機能発現(表面温度センシングのための発光機能、セキュリティー応用へ向けた発光機能)にも成功した。本成果は、新しい発光体である希土類ナノ分子材料を提供するものであり、未来の光電子産業分野を切り拓く新規な物質創成に寄与することが期待される。


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